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Taken from the "Chapter" monologues included at the end of moster chapters in Deadly Sins of Evil: Gift from the Princess who Brought Sleep. More links in the Translation Compendium.

Scans

Japanese

Chapter A

私は生まれた時から眠れませんでした。それは私にとっては本当然のことでしたが、他の人にとってはそうではなかったようです。特に父は私が眠らない赤ん坊だと気が付いた時、それはそれはとても驚いたようで「この子は神の子かもしれない」「医学的見地から見て非常に興味深い」などと言っていました。赤ん坊の頃の出来事にもかかわらず、私はそう言われたことを何故だか今でもはっきりと覚えています。あるいのは本当に、私が神の子だからかもしれません。けれども、父がいくら調べても私が眠らない原因が見つかることはありませんでいた。眠らないことを除けば、私はごく普通の子供でしたので、父も次第に私の症状への興味をなくしていったようです。十を数える頃には「単なる突然変異」そんなあいまいな結論を下し、父は私を研究するのはやめました。私には別の使い道があったので、父はそちらの方に注力することに決めたようでした。私はある日、この町で一番大きな家に住む貴族のの家に連れて行かれました。そこで私は初めてあの人に出会いました。あの人は青い髪の少年でした。

Report 1

六〇九年九月二日付シュブルク新聞第五十八号より抜粋

時を越えて明かされる真実―――知られざる物語『プラトーの花』

死後数十年が経った今もなお、その著作が世界中の人々に愛され続ける伝説の大作家、ユキナ=フリージス。彼女のファンならば『プラトーの花』というタイトルを聞いてピンとこない人はいないだろう。そう、彼女の残した手記においてその執筆が明記されていながらも、その現物が未だに発見されていない「幻の作品」だ。

今回弊紙記者はそのルーツを探るべく、ユキナが物語の原典を得たと言われている場所、メリゴド高地のカルガランドを訪れた。カルガランドは、建物すべてが赤い塗料で塗られているという、不思義な景観を持った街だ。市長であるジュリア=アベラール女史によると、これがこの街の伝続なのだという。

<中略>

さて、市長の話を総括すると、どうやら『プラトーの花』の物語は、やはりユキナの手記に書かれている通り、この街の領主であったギルベルト=カルガランド伯爵の妻、ミクリアをモデルにしたもので間遠いなかったようである。彼女にまつわる様々な不穏な噂―――そこに当時カルガランドを訪れたユキナは物語性を感じ、書にしたためることを決めたのであろう。同じように史実を元にしたりフリージス童話としてはエヴィリオス歴五〇〇年にルシフェニア革命によって処刑された当時のルシフェニア王国王女、リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュを描いたとされる『あくのむすめ』(フリージス出版社)、一三六年のヴェノマニア事件を元にした『公爵と四人の女』(同)などがある。

果たしてユキナは、どんな『プラトーの花』の物語を書いたのであろうか。行方不明になっているこの書の発見が待たれるところである。

<後略>

アケイド副市長襲撃事件続報―――犯罪組織 『ペールノエル』が関与か

去る八月十五日に首都アケイドで発生した副市長襲撃事件について、世界警察エルフェゴート支部長、トーマス=アッカーマン氏は八月三十日、同氏宛てに犯罪組織ペールノエルのリーダー、通称『一番目のサンタクロース』からの犯行声明が送られてきたことを発表した。

<中略>

なお、負傷した副市長、バーナー氏の容体は順調に回復へと向かっている、とのことである。

スーパースターがやってきた!!―――歌姫リン=チャン、アケイドに到着

九月十日に行われる予定のコンサートに向けて、ルシフェニア共和国で絶大な人気を誇る歌手、リン=チャンが九月一日、首都アケイドに到着した。

南地区ではリン=チャンを一目見ようと集まったファンによって一時騒然となる場面もあり、世界警察はコンサート当日まではより一層警備を強化すると発表―――。

<後略>

Chapter B

それが果たして自分の意思であったのか、それとも父を始めとした周囲の緩やかな洗脳ゆえだったのかはわかりません。まだ子供だった私の判断力など、極めて未熟で洗動的なものに過ぎなかったわけですから。それでも私は素直に、それが当然であるかのように、彼のことを好きになりました。知らぬことが多すぎた私に、彼はたくさんのことを教えてくれました。ベルヘン虫の捕り方、大樹に簡単にようじ登る方法、スベルンクックの遊び方、アーベル湖の水がとてもきれいな事、手のつなぎ方、キスの仕方―――。彼がプレゼントしてくれた木の指輪を私は今でも大切に持っています。「大きくなったら結婚しよう」と言われて時、私に断る理由はありませんでした。そしてついに理実となりました。元々父はそれを目的に私と彼を合わせていたのです。父は権威をほしがっていました。正しくは没落した家の権威を取り戻したがっていました。そのために町の領主であるブランケンハイム家の子息と私を結ばせる必要があったわけです。一方でブランケンハイム家にも事情がありました。彼らがほしがったのはフェリクス家にある二千九百万エーヴの財産でした。地位と財力の共有により両家はお互いに力を得たいという思惑があったわけです。それは実現し、私は彼の妻となりました。マルガリータ=フェリクスはマルガリータ=ブランケンイムになったのです。私は幸せになりました。ええ、きっと、たぶん、そのはずだったのです。しかし彼にとってはそうではないようでした。私には彼しかいませんでしたが、彼にとって私は候補の一人でしかなかったのです。最終的に選ばれたのが私、いいえ、正確にはフェリクス家の財産だというだけのことでした。彼はあの約束も、木の指輪のことも忘れてしまっていたのです。同じようなことを、他の女の子にもしていたのでしょう。結婚した直後から、彼は私を気味悪がるようになりました。私が眠らない女であることに気が付いたからです。いつしか、一緒のベッドに入ることはなくなりました。その代わりに彼のベッドには他の女が入るようになりまし た。そうした女は何人かいましたが、彼はそのいずれの女にもたくさんのい金を与え、彼女らに贅沢をさせました。彼自長もたくさんお金を使っていました。それらのお金はすべて、元はフェリクス家にあったものでした。それでも私は幸せでした。あの人のそばにいられれば、私はそれでよかったのです。眠れなくても、彼が他の女と遊び呆けていても、私は幸せです。財産がたいぶ減ってきた頃、新たに屋敷に出入りするようになった女がいました。それがエルルカ=クロックワーカーでした。

Report 2

六〇九年九月十六日付シュブルク新聞第五十九号より抜粋

トラゲイ侯爵、カスパル=ブランケンハイム氏死去―――煙草が原因か?

世界警察エルフェゴート支部長・トーマス=アッカーマン氏は九月四つ、トラゲイ町に在住する侯爵、カスパル=ブランケンハイム氏が自宅で死亡していた事を発表した。

発表によると、ブランケンハイム侯爵の遺体が発見されたのは八月三十一日のことで、当日早朝、義父のマルクス=フェリクス氏が侯爵の自宅を訪問した際、ベッドの上で息を引取っている同氏を見つけたのだという。

<中略>

事件性はなく、侯爵が愛用していた煙草の吸い過ぎによる呼吸器の異常が原因である可能性が高い、とのこと。

これを受けてエルフェゴート、マーロン、ルシフェニアの三政府は九月六日、新大陸から流入してきた煙草の乱用を控えるよう共同声明を発表したが、これ対しフリージス財団、及び貴族社会からな反発が強まっている。

「さあ、跪きなさい!」―――歌姫リン=チャンのコンサート、大盛況で幕

九月十日、首都アケイド中央劇場にて歌手、リン=チャンによるコンサートが開催された。

リン=チャンがエルフェゴートでコンサートを行うのは今回が初めて。

超満員の劇場の中、リン=チャンの決め台詞「さあ、跪きなさい」が響き渡ると、場内は大きな歓声に包まれた。

<中略>

リン=チャンはこの日、アンコール二曲を含む全三十九曲を被露。長丁場にもかかわらずまったく声を枯らすことのないリン=チャンの実力に改めて感服させられることになった。

通常の二倍近い警備態勢が敷かれたこともあってか、当日は大きな混乱もなく無事終了した。

西海岸でジス・ティアマが大漁―――九割がレヴィアンタへの輸出用に

フリージス漁業組合は九月七日、西海岸での漁獲量が前年の二割増になったと発表した。

特にジス・ティアマの漁獲量が多く、例年の三倍近くになるという。

通称「アオタコ」とも呼ばれるジス・ティアマはエルフェーゴトではほとんど食用いられないため、九割がレヴィアンタに輸出されることになる。残りの一割の内、半分は家畜の餌として使用され、もう半分が一部貴族に付向けたペットとして販売される見込み。

Chapter C

時々考えるのですが、愛とは一体何なのでしょうか。人は食べ物がなくては生きていけません。着る物がなくては凍えてしまいます。住む場所がなければ決して安息を得ることはできないでしょう。しかし、愛は必ずしも必要なものではありません。愛などなくても人は生きていけます。愛というのはパンケーキにつけるジャムみたいなものなのです。しかし私はそのジャムが大好きなのです。特にトラウベンジャムが好きです。トラウベンジャムは―――どんな味だったでしょうか。忘れてしまいました。もしかしたら食べたことがないのかもしれません。私が愛がほしいのでしょうか。それとも与えたいのでしょうか。おそろくは両方でしょうか、彼が私に愛をくれないのならば、それはそれで構いません。私がそれの分、二部の愛を彼に着し出せばいいのですから。彼は他の女とばかり一緒にいますが、それが愛ではないことを私は知っています。彼はただ、快楽がほしいだけなのです。だから他の女も抱くし、煙草も吸うのです。最近ではエレノアとフィーネがお気に入りのようです。エレノアは女の名前で、フィーネは煙草の名前です。しかし彼は一体それらを買うお金をどこから手に入れているのでしょうか。もううちにはほとんどお金は残っていなかったはずです。エルルカならば何か知っているかもしれませんが、彼女はそのことについて私に何も話してはくれません。彼女は他の女とは遠って、カスパルには抱かれていないようでした。エルルカのことを「ビジネスパートナーだ」と彼は言っていました。私にとってエルルカは友達です。初めて会ってからまだそれほど経っていないはずですが、彼女とはもうずっと昔から友達だったような気がします。最初に会った時、エルルカは私を見て「お人形さんね」と言いました。それはまさに的確な言葉でした。私は自分のことを、ずっとお飾りの人形のようだと思っていたのです。エルルカは私の一番理解者です。彼女は私のことを、何でもわってくれています。誰かがこの前、私のことを「可哀想な子」だと言いました。誰だったでしょうか。クリームヒルデだったかもしれません。クリームヒルデというのはカスパルの愛人の一人です。しかし私は「可哀想な子」などではありません。私は充分に、幸せなのですから。エルルカだけはそれをわかってくれています。私とカスパルが一心同体であること。カスパルがどこかにいる時、必ず私もそこにいるのです。たとえ別の部屋にいても、私たちは大きな意味では一つなのです。エルルカのことは好きですか。好きですが愛とは少し遠います。私はエルルカのことをまるでお母さんのようだと思う時があるのです。私のお母さんは―――どんな人だったでしょうか。忘れてしまいました。も しかしたらお母さんなんていなかったのかもしれません。

Report 3

六〇九年九月三十日付シュブルク新聞第六十号より抜粋

医者のフェリクス氏、危篤状態に―――原因は不明

先日亡くなったカスパル=ブランケンハイム侯爵の義父、マルクス=フェリクス氏が九月十九日、自宅で意識を失っているのを弊紙記者によって発見されてた。

一時は死亡したと思われたが同日夜、担当医の治療により寄跡的に息を吹き返し、その後、首部アケイドの病院に搬送された。

同氏は九月二十九日理在でも意識を取り戻しておらず、絶対安静の状態が続いている。

世界警察はブランケンハイム侯爵が死亡した件との関連を、注意深く調べる方針。

悲しみに包まれたトラゲイ―――ブランケンハイム侯爵の弊義が執り行われる

九月二十八日、トラゲイの町にて先日亡くなったカスパル=ブランケンハイム侯爵の弊義がしめやかに執り行われた。

当日はソイル=エルフェン国王陛下や生前に侯爵と親交のあったニアネムのクレー=メンス侯爵らが参列し、故人との別れを惜しんだ。

喪主はブランカンハイム侯爵の妻であるマルガリータ夫人が務めた。

式は粛々と進み、大きな混乱などはなかった。

歌姫リン=チャン、口パク疑惑!―――本当は歌っていなかった?

首都アケイドのコンサートを終えたばかりのリン=チャン思わね疑惑が浮上した。

リン=チャンの元マネージャーであるN・A氏(本名非公表)が先日、弊紙の取材を受けていた際に「リン=チャンは実は歌っていない。あれは全部裏で別人が歌っている」と激白。

すぐさま弊紙はリン=チャン本人への接触を試みたが「コンサート後で疲れている」との理由から取材拒否されてしまった。

リン=チャンが口パクだという噂かれており、今回の元マネージャーの告日はその噂の信憑性をより高める結果となった。

しかしリン=チャンの熱狂的ファンだという、とあるエルフェ人の女性から話を何ったところ、こんな答えも返ってきた。

「あのN・Aという元マネージャーは虚言癖かあるとことで有名。おそらくマネージャーを首になったことを逆恨みしてそんなことを言っているんだと思う。リン=チャンは決して口パクなんかじゃありません!私は信じています!!」

果たしてどちらの言っていることが真相なのか。弊紙は引き続きこの話題を追っていくつもりだ。

Chapter D

今日も眠れません。カスパルは眠りました。父も眠りました。しかし私は未だに眠れていません。カスパルは悩みから解放されました。父も悩みから解放されました。けれども私はまだまだ悩み読なければなりません。カスパルは仕事のことで悩んでいました。具体的にどのような悩みだったのかは私にはわかりません。ですがエルルカと口論してたのをこっそり聞きました。「裏市場」「独占」「裏切り」「二番目」「サンタクロース」―――そんな単語が扉越しに聞こえていました。話が終わった後、出てきたエルルカは私にアレをくれました。人形です。いいえ遠います。人形ではありませんでした。人形をもらったのはもっと前のことでした。そうだったでしょうか?人形なんてこの家のどこにもありません。そもそも私は人形をもらったのでしょうか?遠うのかもしれません。私の勘遠いだったのかもしれません。だって人形なんてどこにもないのですから。とにかくその時にもらったのは別のものでした。おかげでカスパルに素敵な贈り物ができそうでした。私は徹夜で彼へのプレゼントを作りました。と言っても、私は眠りませんから毎日が徹夜です。ええ。誕生日の日、私はカスパルにプレゼントを贈りました。トラウベンジャムに混ぜて贈りました。エレノアまでトラウベンジャムを食べてしまいました。まあいいです。おすそわけです。カスパルは眠りました。ついでにエレノアも眠りました。だけど私は眠れません。しばらくして、今度は父が悩みはじめました。一緒にごろ飯を食べていた時、父は「サンタクロースとはもうかかわるな」と言いました。「あの女は危険すぎる」と言いました。サンタクロースとは誰のことでしょう?あの女とは誰のことでしょう?エルルカのことです。何故父はそんなことを言ったのでしょう。きっと父は、エルルカのことが好きになってしまったので す。でも私に気兼ねして、自分から身を引こうとあれて私にそう言ったのです。父が可哀想です。眠れないほど悩んでいるなんて可哀想です。だから私は父にも プレゼントを贈りました。トラウベンジャムに混ぜて贈りました。父は眠りました。浅い眠りのようですが、じきに深い眠りへと落ちていくでしょう。だけど私 は眠れません。私が眠るにはどうすればいいでしょう?まだまだ徹夜が必要です。プレゼントをもっと作らなければなりません。誰にも見つからないところにた くさんあります。たくさんあるうちに、私はプレゼントを完成させなくてはありません。プレゼントを誰に贈るべきでしょうか?カスパルは眠りました。父も眠 りました。次はあの子たちに贈りましょう。心地よいお昼寝の時間を満喫できるように。それにしても、あの人形はどこに行ってしまったのでしょうか?

Report 4

六〇九年十月十四日付シュブルク新聞第六十一号より抜粋

歌姫リン=チャン、誘拐される!?―――後見人コーパ氏、殺害

ルシフェニイア共和国ロールド市在住の商人、トソ=コーパ氏が十月六日、自宅で死亡しているのが使用人によって発見された。

コーパ氏の背中には深い刺し傷があり、これが致命傷になったと思われよ。世界警察は殺人事件として捜査を進める方針。

同氏は歌姫として知られるリン=チャンの後見人としても知らていた。

リン=チャンは六日以降、行方不明になっている。そのため世界警察は当初、リン=チャンがコーパ氏を殺害した同能性も示唆していたが、前述の使用人が同日、リン=チャンが何者かに連れ去られているのも目撃していた。

世界警察は犯人がリン=チャンを誘拐する目的でコーパ氏を殺害したと見ている。

犯人がエルフェゴート国に逃け込んたという情報もあり、世界警察はエルフェゴート国民に広く情報提供を呼び掛けている。

犯人らしき人物、あるいはリン=チャンを目撃したという方は、世界警察エルフェゴート支部か、お近くの世界警察詰所まで。

ブランケンハイム侯爵を偲んで―――特集・カスパル=ブランケンハイム(I)

先日亡くなったトラゲイ領主、カスパル=ブランケンハイム侯爵を偲んで、今回は彼の生涯と生活、その功績について全三回にわたって振り返りたい。

カスパル氏は五八八年八月三十日にカール=ブランケンハイム侯爵の長男として生まれ―――

<後略>

Chapter E

「gift」は完成しつつあります。もはやあの子は、私の手から離れても動けるようになりましになりまし た。私がいなくても、あの子は人々に眠りを与え続けるのです。子はいつか親の元を離れます。それは悲しいことですが、喜ばしいことでもあるのでしょう。本 当はあの人との子供がほしかった。カスパルとの間に、子供をもうけたかった。たとえみんなが彼を悪く言っても、私にとってはあの人がすべてです。私はお姫 様。自分は眠らず、他人に眠りを与える『眠らせ姫』。眠ることのできないお姫様は、王子様のキスでようなく眠ることができる。そのはずでした。カスパルは 私に眠りをもたらしてはくれなかった。それでもやっぱり、私にとっては彼が王子様だったのです。あの人の子供がほかった。でもそれはもはや叶わぬ願いで す。いいえ。元から叶うはずのない願いだったのです。あの子が完全になっていく過程で、私は自分が何者なのか、少しずつ思い出してきました。完成すれば、 きっとすべてを思い出すのでしょう。今日も眠れません。しかしそれは本当たり前のことでした。私が眠らないのは必然だったのです。あの人形はどこに行って しまったのでしょうか?いいえ。人形なんて見つかるはずはありません。そんなもの、元からなかったのです。もうトラゲイには戻れません。あそこには入れな くなってしまいました。制服を着た人たちに道を塞がれてしまったのです。ならばあの人に会いに行きましよう。北?南?北にすることにします。これは勘で す。私の勘はよく当たると評判です。私の中で評判です。北からは懐かしい匂いがするのです。そんな気がするのです。あの人に会うことが、すべての仕上けで す。その時きっと「gift」は完成するでしょう。その時きっと、私の願いが叶うのです。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

私は眠らせひめ。

Report 5

六〇九年十月二十八日付シュブルク新聞第六十二号より抜粋

慈善院で二十四名死亡―――原因は不明

トラゲイの町でまた異変が起きた。

十月十七日、トラゲイの慈善院に暮らす十八名の子供、及び六名の職員が死亡しているのが発見された。

原因は不明だが、世界警察は病死、事故死、殺人等あらゆる可態性を考慮して捜査する方針。

<中略>

またこの件に関して、世界警察は当時その場にいた捜査員、ハイデマリー=ローレが深く関与していると見て、その行方を追っている。

ハイデマリー=ローレを目撃したという方は、世界警察エルフェゴート支部か、お近くの世界警察詰所まで。

※続報記事あり。次記事ご覧ください。

トラゲイの奇病騒動、収まりを見せず―――さらに三十名近くが死亡か?

十月十七日に発生した慈善院の大量死事件に関連して、トラゲイでは奇病騒動が巻起こっている。

十月以降、同じような症状で倒れる住人が続出しているというのだ。

世界警察からの正式発表がないため詳細は不明だが、弊紙が独自取材したところ、既に三十名近い住人が奇病を発症している可態性があるという。

伝染病の可態性もあるため、世界警察の発表及び対応が待たれるところである。

※続報記事あり。次記事ご覧ください。

アケイド、トラゲイ間の通行が禁止に―――世界警察からの発表はなし

トラゲイの奇病騒動に関連して、首都アケイドとトラゲイを結ぶ街道が世界警察によって閉鎖されていることが弊紙の取材で判明した。

この件に関し、世界警察からの正式発表はない。

街道を普段から利用する人たちからは、不満の声が噴出している。

一方でこの閉鎖が、トラゲイで伝染病が蔓延している何よりの証明であるとして、アケイドの住民には不安が広がっている。

※掲載予定だった「特集・カスパル=ブランケンハイム(II)」は都合によりお休みいたします。

Chapter F

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

私は眠らせ姫。

さあ、王子様。

あの森で私にキスをして。


Report 6

六〇九年十一月十二日付シュブルク新聞第六十三号より抜粋

トラゲイ、壊滅

世界警察はトラゲイでの奇病騒動に関して十一月八日、トラゲイの町の全住人が死亡したと発表した。死者の合計数は三百人を超える模様。この件にいつてリージス財団は、近日中に調査団をトラゲイに派遣すると表明した。現在、トラゲイの閉鎖は解除されていものの、世界警察及びエルゴェゴート政府は当分の間、トラゲイ町中には入らないよう、エルフェゴート全国民に呼び掛けている。

<後略>

歌姫リン=チャン、アケイド目撃される!?―――その後、再び行方不明に

行方不明になっている歌姫リン=チャンを首都アケイド目撃したという情報が、一時弊紙に複数、寄せられた。だがそれ以降、情報がないため、弊紙はその真偽について調査中である。リン=チャンに関しては、先日殺害された後見人トン=コーパ氏から給料の搾取、及び虐待を受けていた疑惑のあることが、本社の独自取材で明らかになった。リン=チャンの元マネージャーであるN • A氏(本名非公表)によると――。

<後略>

※「特集・カスパル=ブランケンハイム」は都合により終了いたします。

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